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銃を撃つ

 小説を書くうえで、「どこまで描写すべきか」というのは重要な問題だ。たとえば、「銃で男を殺す」場面があったとする。一人称において最も簡潔に書くならば、こうだ。


 銃を撃った。男は死んだ。


 まったく無駄がない。感情描写もなければ、状況説明もない。銃や男に関する描写もない。ある意味、究極のハードボイルド文である。もしこの主人公が殺人をなんとも思っていない冷徹な人間ならば、この文章は正解だ。よけいな説明を加えることは、主人公の性格を殺しかねない。
 しかし、こうした状況の主人公が必ずしも冷徹な人間であるとは限らない。なにかの事情があって止むを得ず殺すこともあろうし、積年の恨みを晴らすために何十年も追い続けた果ての一撃かもしれない。そういう状況であれば、この文章はあまりに簡潔すぎる。もっと文章を膨らませるのが普通だ。ここで、「どこまで描写すべきか」という問題が発生する。
 ハードボイルドの枠内で進めるならば、徹底的に「起こったこと」だけを書くのが良い手だ。とくにアクションシーンでは短いセンテンスをテンポよく並べるのがセオリーである。


 銃を抜いた。ジェリコ941。9ミリ弾が込められている。銃口を男に向けた。照門と照星がまっすぐに男の胸を捕らえた。五メートル。外しようのない距離だ。男は命乞いの言葉を吐いた。ひどい南部なまりだった。無視して引き金を引いた。四発、たてつづけに撃った。すべて命中した。男は短くうめくと、その場に崩れた。そのまま二度と動かなかった。



 こんな感じだろうか。なんらかのアクションがあったときには過去形を使い、現状の説明をするときは現在形を使う。うまく織り交ぜてリズムを作り出すのがコツである。すべての文章を過去形にするとスピード感は出るが、文章が詰まりすぎて読みにくくなることがある。また、主人公の行動についていちいち「私は……」などと入れない。入れなくても主人公の行動だとわかるからだ。
 では次に、ハードボイルドでない文体。人を殺したことはおろか、銃に触れるのも初めての女性が男を殺す場合。


 銃を手に取った。どうやって撃つのかわからなかった。見よう見まねで安全装置を外した。たぶん、これで撃てるはずだ。両手でかまえて、男に向けた。五メートルぐらいの距離だ。当たるかどうか──。男が南部なまりの言葉で「やめろ、撃つな」と叫んだ。しかし、もう遅かった。今日こそ殺すと決めたのだ。力を込めて引き金を引くと、思ったより軽い音が鳴って銃身が跳ね上がった。当たったかどうか、わからなかった。続けて三回撃った。全部で四発。そのうちの何発かが当たったらしい。男はうめき声をあげながら倒れた。そうして、ぴくりとも動かなくなった。──ついに殺してしまった。そう思った。



 いくらか感情描写が入ってくる形。これでもかなり無駄のない描写であろう。おそらく人が初めて誰かを殺す場合、もっと多くの感情描写が必要となる。あるいは逆に冷めた視点から書いておき、のちのち振り返って反芻したり苦悩したりする方法もある。どれが最善なのか、それは人それぞれである。(だったらこんなもん書くなと)
 いや、じつは単に銃で人を撃つシーンを書きたかっただけですので意味はありません。あー、そうだ。例の吸血鬼がテーマの小説、これで片付けようかな。1シーンだけを延々と書き連ねる形で。ウソです。いやマジでやるか。どっちだ。
| Lesson | 19:20 | comments(2) | trackbacks(0) |
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コメント
思うんですが、かっちょいい殺し屋とかが一人殺すのに
弾を4回も撃つのは違和感があるんですがどうでしょうか?
確実性を求めても精々2回だと思います。

意味も解らず引き金を引く初心者なら銃声に驚いて一発か、
錯乱して全弾撃ち尽くすと思うのですがどうでしょ?
| がうろん | 2004/07/09 9:00 AM |

 人を確実に殺すのに何発必要かというのは諸説あるわけですが、よく言われるのは「9ミリなら4発撃て」というヤツですね。それも、プロが急所を撃ったうえでの4発です。経験則からして、1発や2発では確実でないことを知っているのでしょう。頭を撃てばまた別ですが。弾なんて安いものなので、節約する必要もありませんし。プロになればなるほど、より確実性を求めてたくさん撃ち込むと思われます。まぁ、スマートなやりかたじゃないのは確かですけども。



 初心者については一考の余地アリ。でも全弾撃ち尽くすのは疲れそうだなぁ。
| 牛 | 2004/07/09 7:07 PM |
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